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2026年2月19日

「かわいそう」だけでは決められない。愛犬の寿命を延ばすための「去勢手術」という選択肢

「かわいそう」だけでは決められない。愛犬の寿命を延ばすための「去勢手術」という選択肢

「かわいそう」だけでは決められない。愛犬の寿命を延ばすための「去勢手術」という選択肢

「元気な体にメスを入れるなんて、かわいそう……」
愛犬の去勢手術を検討する際、多くの飼い主様がこのような葛藤を抱かれます。健康な状態なのに、わざわざ全身麻酔をかけて手術をする必要があるのか? 自然のままでいいのではないか? そのお気持ちは痛いほどよく分かります。

しかし、獣医療の現場にいる私たちが去勢手術を推奨するのには、単なる「繁殖防止」以上の、明確な医学的理由があります。それは、去勢手術が「将来必ず訪れる病気のリスクを、若いうちに摘み取ってしまう最良の予防医療」だからです。

今回は、男の子のワンちゃんの「去勢手術」について、メリット・デメリットだけでなく、飼い主様が納得して決断するための判断材料を詳しく解説します。

「かわいそう」を乗り越える価値がある。獣医師が去勢を勧める3つの医学的理由

去勢手術(精巣摘出術)を行う最大のメリットは、シニア期になってから発症し、命に関わる病気をほぼ100%予防できる点にあります。

① 「精巣腫瘍」と「肛門周囲腺腫」の完全予防

精巣(睾丸)を取り除くことで、当然ながら精巣がん(精巣腫瘍)のリスクはゼロになります。また、男性ホルモンの影響で発生するお尻周りの腫瘍「肛門周囲腺腫」の発生率も劇的に下げることができます。これらは高齢になってから見つかることが多く、その時には「心臓が悪くて手術ができない」というジレンマに陥ることも少なくありません。若い時期の手術は、未来のガン予防になるのです。

② 痛くて辛い「前立腺肥大」や「会陰ヘルニア」の回避

未去勢の雄犬は、加齢とともに前立腺が肥大しやすくなります。これが進行すると、血尿が出たり、便が出にくくなったりします。さらに怖いのが「会陰ヘルニア」です。お尻の筋肉が痩せて隙間ができ、そこから腸や膀胱が飛び出してしまう病気で、激痛を伴い、緊急手術が必要になることもあります。これらもホルモンが関与しているため、去勢手術で予防が可能です。

③ 満たされない「性的ストレス」からの解放

発情期のメス犬の匂いを嗅いだ時の雄犬の衝動は、凄まじいものがあります。しかし、実際に交配させてもらえない状況は、犬にとって大きなフラストレーション(性的ストレス)となります。食欲がなくなり、落ち着きがなくなり、遠吠えを続ける……そんな「解決できない苦しみ」から解放してあげることも、精神衛生上とても大切です。

性格は変わる?「攻撃性」や「マーキング」の真実

「去勢するとおとなしくなる」とよく言われますが、これは正解でもあり、誤解でもあります。

魔法のように「噛み癖」が治るわけではない

去勢手術によって男性ホルモン(テストステロン)がなくなると、縄張り意識や他の雄犬への対抗心から来る「攻撃性」は低下する傾向にあります。しかし、怖がりな性格や、これまでの経験に基づく「防衛的な噛みつき」は、手術をしたからといって魔法のように消えるわけではありません。トレーニングとの併用が必要です。

マーキングは「習慣化」する前が勝負

あちこちにおしっこをかけるマーキング行動も、ホルモンの影響が強いため、去勢によって減少することが多いです。ただし、一度「ここでするのが当たり前」と学習して習慣化してしまった場合は、手術後も行動が残ることがあります。だからこそ、行動が定着する前の若齢期の手術が効果的なのです。

最適なタイミングはいつ?「生後6ヶ月」が目安と言われる理由

手術のタイミングについては、犬種や成長スピードによって異なりますが、一般的には「最初の発情(性成熟)を迎える前」が推奨されています。

小型犬は6〜7ヶ月、大型犬は成長を待ってから

トイプードルやチワワなどの小型犬は、生後6ヶ月〜7ヶ月頃に性成熟を迎えるため、この時期の手術が一般的です。一方、大型犬は骨格の成長が完了するまで時間がかかるため、1歳を過ぎてからの方が関節疾患のリスクが低いというデータもあり、獣医師と相談して決める必要があります。

麻酔のリスク vs 病気のリスク。天秤にかけて選ぶ未来

「全身麻酔が怖い」という不安はもっともです。しかし、若くて健康な時期にかける麻酔のリスクと、高齢になって体力が落ちてから病気になり、緊急手術でかける麻酔のリスクを比べれば、前者のほうが圧倒的に安全です。当院では、術前の血液検査やレントゲンで万全のチェックを行い、最新の生体情報モニターで監視しながら手術を行います。

まとめ:それは愛犬への「最初のプレゼント」かもしれません

去勢手術は、決して人間の都合だけで行うものではありません。病気の苦しみを知らずに一生を終えられる確率を高め、ホルモンによるイライラから解放され、飼い主様と穏やかに暮らせる時間を増やす。
それは、飼い主様が愛犬に贈ることができる、最初の「長寿のプレゼント」と言えるのではないでしょうか。

アニホック動物医療センター小平病院では、手術のメリットだけでなく、デメリット(太りやすくなることなど)も含めて丁寧にご説明します。迷われている方は、まずはカウンセリングだけでもお越しください。

当院は予約優先でご案内しております。当日の診察も可能ですが、ご予約の方を優先するためお待ちいただく場合がございます。スムーズなご案内のため、事前のご予約をおすすめします。

13:00〜16:00は、検査・手術の時間帯のため完全予約制です。

診療時間 10:00〜19:00【予約者優先】
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